結婚の承諾を得るため千鶴の実家へ赴いた幸春は、千鶴の父・久信が前向性健忘という記憶障害に陥っていることを知らされる。数日後、幸春の知人が公園で何者かに襲われ命を落とす。当初は強盗事件と思われたものの、悲劇はこれだけでは終わらなかった……。14年前の連続放火事件との関係は、そして幸春と千鶴の結婚の行方は? 多重どんでん返しの末に明らかになる、驚愕と感動の真相。『金のゆりかご』『恋愛函数』の著者の代表作のひとつ。解説=千街晶之
北川歩実
(キタガワアユミ )1995年、『僕を殺した女』でデビュー。論理的な作風とサスペンスフルな展開で注目される。主な著書に『透明な一日』『猿の証言』『金のゆりかご』『運命の鎖』『天使の歌声』などがある。