緊迫感ある展開と思わぬ落着を特徴とする作品を〈サスペンス篇〉として集成した文庫版全集第三巻には、出所した殺人犯を待ちうける異様な運命の悪戯を描き、探偵作家クラブ賞に輝いた表題作ほか、単行本未収録であった私立探偵ソリーの事件簿2篇、西部劇のノヴェライズ「ヴェラクルス」など18の短篇に、著者自身による作品解題・書評等を併載する。解題=日下三蔵/巻末エッセイ=紀田順一郎
「私刑(リンチ)」
「夢路を辿る」
「花売娘」
「茨の目」
「街かどの貞操」
「初恋──課題小説に応えて──」
「外套」
「現場写真売ります」
「第四宇宙の夜想曲」
「密航前三十分」
「ある夢見術師の話」
「男井戸女井戸」
「ショウだけは続けろ!」
「電話はお話し中」
「危険な夫婦」
「彩られたコップ」
*
「二十四時間の恐怖」
「ヴェラクルス」
日下三蔵
(クサカサンゾウ )1968年神奈川県生まれ。専修大学文学部卒。書評家、フリー編集者。主な著書に『日本SF全集・総解説』、『ミステリ交差点』、主な編著に、《年刊日本SF傑作選》(大森望との共編)、《日本SF全集》、《中村雅楽探偵全集》、《都筑道夫少年小説コレクション》、『天城一の密室犯罪学教程』ほか多数。