ある日女子大生・人見操の元に届けられた差出人不明の、保育園と一枚の絵の写真。次いで届いたのは見知らぬ少女のポートレイトだった。次々届く写真に恐怖を覚え調べていくと、そこでは十九年前、未解決の園児誘拐事件があったらしい。そしてその被害者の容貌は、幼い頃の操に酷似していた。自分は誘拐された園児なのか? 自分の本当の両親は誰なのか? 巧妙な誘拐トリックと戸籍制度を巧に利用して隠された驚愕の真相! 第五回鮎川哲也賞受賞作。 解説=大矢博子
愛川晶
(アイカワアキラ )1957年福島県生まれ。筑波大学卒。94年、『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。〈神田紅梅亭寄席物帳〉シリーズとして、本書の他『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』『うまや怪談』がある。他に『六月六日生まれの天使』『ヘルたん』『十一月に死んだ悪魔』など著書多数。