― サスペンス―
夏の盛りの黄金色の日暮れ時に、私は四十代半ばの美しい女性と出逢った。暫し言葉を交わした見知らぬ旅人。だが後日、私は思わぬ報に接する。あのひとが無惨な二重殺人の犠牲者になったというのだ……!……
1951年3月7日から2カ月間、新聞に続けて掲載され、ロンドンじゅうの話題になった奇妙な個人広告。広告主の「ビスケット」とは、そして相手の「人魚」とは誰か?それを機に明かされていく、第二次大戦中のある漂流事件と、その意外な顛末。……
友人ニコラの新作が彼を超一流作家に押し上げることを、私は読み始めてすぐに確信した。テーマは感動的、文体は力強く活力がみなぎっている。しかし……
見ず知らずの女をたぶらかすべく、てのひらに聖痕を出現させる奇術を演じたわたしは、思わぬ成りゆきからその女と同居することになった。だが一年後、女は……
寝たきりの母をひとり世話する老女。この親子がかつて交わした約束とは? 皮肉な運命が待ち受ける「死ぬにはもってこいの日」、裏庭に空飛ぶ円盤が? 深夜の……
ナイフを胸に突き立て、血まみれでうずくまるルー。部屋には冷気とジャスミンの香り……。親友の死の知らせを聞き駆けつけたクィンとマクレアリは、彼が……
『セントルイス・ニューズ』のエヴェレットは、事故にあった同僚の代わりに、その夜死刑になる男へのインタヴューを担当するよう命じられた。ところが……
クリスマスも近いある日、2人の少女が失踪した。刑事ルージュの悪夢が蘇る。15年前に殺された双子の妹。だが、犯人は今も刑務所の中だ。まさか?
「これは殺人じゃないわ。処刑よ」リディアは宣言した。姉を自殺に追い込んだ憎むべき恐者が、いま残された家族の前で息絶えたのだ。死体を処分し……
英国を代表する詩人トリストラム・アブリー。彼は義勇兵としてスペイン内戦に身を投じ、若くしてこの世を去った。この偉大な詩人の残した手紙を求める探索は……
「あなたがどんな命令を受けているかはわかっています」老婦人は侵入者にそう告げた。すべての計画を見抜き、死を覚悟したうえで待ち受けていたのだ。高名な……
姪の結婚披露宴に、少年時代の親友が闖入してきた。落魄した友は、三十四年前の秋、殺人罪で絞首刑になった父親の無実を訴え、翌朝自殺する。罪悪感に……
西インド諸島を発つ日、わたしは存在しない庭師から手紙の代筆を頼まれた。さらに白昼夢が現実を侵したように、帰途の船上で生起する蜃気楼めいた異変の……
ジョギングのさなかマクレアリが何者かに狙撃された。極秘裡に調査していた事件と関係があるらしいのだが、重傷を負った彼は失語症に陥り詳しい情報が……
娘は、自分に巨額の財産があることも、両親は事故死したのではないということも知らなかった。ましてや、婚約者の狙いがその財産であることも、彼が……
「こんなことをやらせちゃいけなかったんだ」彼はナイフを引きぬき、女を地面に横たえた……大学構内で殺された有能な女性化学者。その美貌の影に潜む……
新しい店子が越してきた。72歳のラリーは、階下のその娘に尋常ならぬ関心を寄せるが……。怖くて滑稽で哀しい、瞠目のデビュー!
殺される直前に謎めいた写真を送りつけてきたクィンの恩師。マクレアリは妹キャットの死を克服しようと事件にのめりこむのだが……。
一編の回顧録が提示する、いにしえの謎。元歴史教師が焙り出した、秘められた絶望、悪意、偽りとは。騙りに満ちた重厚無類の物語。
一編の回顧録が提示する、いにしえの謎。元歴史教師が焙り出した、秘められた絶望、悪意、偽りとは。騙りに満ちた重厚無類の物語。