遅咲きの文学青年が得たF賞作家の肩書きを巡る「ブロンズの使者」で素人探偵に後れを取り、犯人が雪の密室から消失した「マーキュリーの靴」の謎が解けてたまるかと開き直る。そんな私立探偵の軍師は三番館に。安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ第3集。
「ブロンズの使者」
「夜の冒険」
「百足」
「相似の部屋」
「マーキュリーの靴」
「塔の女」
鮎川哲也
(アユカワテツヤ )1919年生、2002年歿。1956年、講談社の書下し長探偵小説全集第13巻募集に応じた『黒いトランク』が出世作となる。乱歩編の〈宝石〉に迎えられて以降 本格派の驍将 の座を確立、1960年、『黒い白鳥』『憎悪の化石』で第13回日本探偵作家クラブ賞を受賞。鬼貫警部や星影龍三の活躍、三番館シリーズほかの本格推理を書き続ける一方、アンソロジー編纂、新人作家紹介等に尽力した。その名を冠したミステリ新人賞〈鮎川哲也賞〉が、1990年、東京創元社により創設された。