液体メタンの海とアンモニアの氷に覆われ、高速自転で赤道部が膨らんだ巨大惑星メスクリン。赤道部で3G、極地で700Gのこの星は、ある緯度以上への人類の進入を許さない。地球人は南極で離陸不能となった無人調査ロケット回収のため、原住生命と取引きをした。体長40センチ、36本肢のメスクリン人は、なぜ無報酬も同然でこの危険な仕事を引き受けたのか? ハードSFの傑作! 解説=堺三保
ハル・クレメント
1922年、アメリカ合衆国マサチューセッツ州生まれ。幼少時より天文学とSFに親しみ、43年に天文学の学士号を、47年に教職修士号を、63年に理学修士号を取得。小説家としてのデビュー作はハーヴァード大在学中の42年、〈アスタウンディング〉誌に掲載された“Proof”。その後同誌で活躍をつづけ、50年に第一長編『20億の針』を発表した。続編に『一千億の針』がある。他の代表作に、『重力への挑戦』『アイス・ワールド』『窒素固定世界』など。99年、アメリカSF&ファンタジイ作家協会から生涯功労賞であるグランド・マスター賞を授与された。2003年没。
井上勇
(イノウエイサム )1901年広島県生まれ。1923年、東京外国語学校(東京外国語大学)卒業。翻訳家。1985年歿。