英米の怪談を訳しては名匠とうたわれた平井呈一が、最も愛する作品のみを選り抜き、腕に縒りをかけて訳出した〈百物語〉の真打ち。上巻には、レ・ファニュの「クロウル奥方の幽霊」をはじめ、A・E・コッパードの「消えちゃった」、H・R・ウエイクフィールドの「防人」、R・ミドルトンの「ブライトン街道で」など全12編を収録した。
ダニエル・デフォー「ミセス・ヴィールの幽霊」
A・E・コッパード「消えちゃった」
メイ・シンクレア「希望荘」
H・R・ウェイクフィールド「防人(さきもり)」
E・F・ベンスン「チャールズ・リンクワースの懺悔(ざんげ)」
リチャード・ミドルトン「ブライトン街道で」
エルクマン=シャトリアン「見えない眼」
A・M・バレイジ「象牙の骨牌(かるた)」
J・S・レ・ファニュ「クロウル奥方の幽霊」
ヒュー・ウォルポール「ラント夫人」
ソープ・マックラスキー「慎重な夫婦」
オリバー・オニオンズ「手招く美女」
J・S・レ・ファニュ
1814年アイルランド、ダブリン生まれ。ダブリン大学トリニティカレッジに進学し、38年、月刊雑誌「ダブリン・ユニバーシティ・マガジン」に“The Ghost and the Bone-Setter”を発表。その後も精力的に創作活動に励み、80に及ぶ短篇と15の長篇を残し、現在でもヴィクトリア朝を代表する怪奇幻想作家として愛読される。代表作に、『墓地に建つ館』『アンクル・サイラス』『ワイルダーの手』の長篇のほか、ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』に先駆けて発表された「吸血鬼カーミラ」などがある。73年没。