古ぼけたアパートの一室で発見された、若く美しい女性の変死体。事件につきまとう、ひげのある男のいくつもの影に、捜査に乗り出した郷原部長刑事たちは翻弄され続ける。現場周辺で目撃された不審なひげのある男、被害者と頻繁に旅館へ出入りしていたひげのある男……。はたして犯人は誰なのか? 著者のデビュー長編にして、ユーモアと堅固な論理性とひげに満ちた傑作本格推理! 解説=新保博久
結城昌治
(ユウキショウジ )1927年東京生まれ。59年に短編「寒中水泳」で〈エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン〉日本版の第1回短篇コンテストに入選しデビュー。同年、初の長編『ひげのある男たち』を発表、翌年より専業作家となる。64年に『夜の終る時』で第17回日本推理作家協会賞、70年には『軍旗はためく下に』で第63回直木賞、85年に『終着駅』で第19回吉川英治文学賞を受賞した。その他の代表作に『ゴメスの名はゴメス』『暗い落日』『白昼堂々』など。96年没。