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明治二十四年、函館水上警察署の五条文也警部は、見慣れぬ毛皮のコート姿の美貌の女に目を奪われた。彼女の切ない過去と謎を描く「ウラジオストクから来た女」、英露両国の対立が一触即発の状態にまで発展する函館港の危機「聖アンドレイ十字 招かれざる旗」などの四編に加え、文庫オリジナル短編を収録。函館の平穏を守るべく、日夜奔走する刑事たちを活写する、明治警察物語。
(単行本版タイトル『ウラジオストクから来た女』を改題・文庫化)
「ウラジオストクから来た女」
「聖アンドレイ十字招かれざる旗」
「嵐と霧のラッコ島」
「函館氷室の暗闇」
「冬に散る華」
高城高
(コウジョウコウ )1935年北海道函館市生まれ。東北大学文学部在学中の1955年、日本ハードボイルドの嚆矢とされる『宝石』懸賞入選作「X橋付近」でデビュー。大学卒業後は北海道新聞社に勤めながら執筆を続けたが、やがて沈黙。2006年『X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選』で復活を遂げた。他の著書に『微かなる弔鐘』。08年、『墓標なき墓場』を第1巻とする〈高城高全集〉全4巻(創元推理文庫)が刊行された。