「手を下さなければ殺人ではない。私は何もしていない」偶然と悪意が重なる瞬間に“完全犯罪”を成し遂げた、春夏秋冬を名に冠する四人の少女と四つの事件。彼女たちの前に、それぞれの罪を見抜いた男性が現れる時、その心をよぎるものは──。犯罪心理と少女の心の綾を巧みに組み合わせた、全編を通して蓋然性の犯罪を扱う幻のミステリが初文庫化。「危険区域」他、全四編を収録。解説=新保博久
「危険区域」
「顔」
「魔火」
「通訳」
佐々木丸美
(ササキマルミ )1949年北海道生まれ。75年『雪の断章』でデビュー。77年『崖の館』を発表。叙情と幻想を湛えた独自の作風で人気を博す。主な著作に『忘れな草』『花嫁人形』『水に描かれた館』『夢館』『罪灯』などがある。2005年逝去。