愛媛県の山間部にある赤虫村(あかむしむら)には、独自の妖怪伝説が存在する。暴風を呼ぶ「蓮太(はすた)」、火災を招く「九頭火(くとうか)」、無貌の「無有(ないある)」、そして古くから伝わる“クトル信仰”。フィールドワークのために訪れた怪談作家・呻木叫子(うめききようこ)は村の名家である中須磨家で続く、妖怪伝説の禍を再現するかのような不可能状況下での連続殺人を調査することに。第17回ミステリーズ!新人賞受賞者による初長編。解説=多田克己
大島清昭
(オオシマキヨアキ )1982年栃木県生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。研究者として幽霊・妖怪について論考を発表するかたわら、2020年、怪異と謎解きのバランスの新しさを高く評価された「影踏亭の怪談」で第17回ミステリーズ!新人賞を受賞。主な著書に『現代幽霊論』『Jホラーの幽霊研究』『影踏亭の怪談』『赤虫村の怪談』『地羊鬼の孤独』『最恐の幽霊屋敷』、共著に〈怪談オウマガドキ学園〉シリーズがある。