東堂と刈部が経営する小さな釣具店《ラストホープ》に送られてきた一枚のFAX、それがすべての始まりだった。病気の父のために多摩川の山女魚が欲しいという依頼を受け、東堂は山女魚を釣り上げるが、その途端何者かに襲撃される。困惑するふたりはいつの間にか一億円争奪ゲームの真只中に――〈最後の希望〉を売る店の、愉快な悪漢コンビが奮闘するクライム・コメディ。日本推理作家協会賞受賞作家の文庫特別書き下ろし長編。
浅暮三文
(アサグレミツフミ )1959年兵庫県生まれ。関西大学卒。98年『ダブ(エ)ストン街道』で第8回メフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『石の中の蜘蛛』で第56回日本推理作家協会賞を受賞。主な著作は『針』『殺しも鯖もMで始まる』『ラストホープ』などがある。