急死してしまった義兄・最上圭一が遺した、「うさぎ」にあてた不思議な“音のメッセージ”。圭一から「うさぎ」と呼ばれて可愛がられていたリツ子は、それが環境庁の選定した日本の音風景百選の一部だと気づくが、どこか不自然さを覚える。謎を抱えながら音源を訪ね歩くうちに、リツ子が発見した奇妙な矛盾とは──。音風景を巡る謎を旅情豊かに描いた連作長編、待望の文庫化。解説=西上心太
北森鴻
(キタモリコウ )1961年山口県生まれ。駒澤大学卒業。編集プロダクション勤務を経て、95年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。99年『花の下にて春死なむ』で第52回日本推理作家協会賞を受賞。香菜里屋シリーズ、冬狐堂シリーズ、蓮丈那智シリーズなど、人気シリーズを数多く手がける。主な著作は『狐罠』『凶笑面』『孔雀狂想曲』『蜻蛉始末』『うさぎ幻化行』など。2010年没。