北関東のとある町にある、外国人向けアパート「ランタン楼」。昔からトラブルが絶えないアパートの歴史に怯えつつ、祖母の代わりに大家業をこなしていく瑞輝。住人の問題と対峙し、彼らの窮状を解決しようと奮闘するうちに、瑞輝の心にも大きな変化が訪れる。ランタン灯る古い洋館風のアパートを舞台に、異国の地で懸命に生きる人々との交流と青年の成長を、優しく綴った連作集。解説=大矢博子
(単行本版タイトル『アンジャーネ』を文庫化・改題)
「1/4」
「ジロ──Jil? Morro Redondo──」
「海亀(ハイグイ)」
「バルザフ」
「テリンノム」
「住人祭──La f?te des voisins──」
「エキストラ」
吉永南央
(ヨシナガナオ )1964年埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、コーヒー豆と和食器の店を営むおばあちゃん探偵の活躍を優美に描いた「紅雲町のお草」で、第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2008年1月に受賞作を含む連作短編集『紅雲町ものがたり』を刊行。第一長編は『誘(いざな)う森』。