道に迷った漁夫が行き着いたのは、戦乱を逃れた民の子孫が王朝の変遷も知らず平和に暮らしているユートピアだった──陶淵明『桃花源記』を思わせるのどかな村にやってきた、陶華ら旅の一行。成り行きで道連れになった、一癖も二癖もありそうな集団である。果たして、一行の世話係が殺され、村人が多数遺体となって見つかるという事態に発展。陶華らの中に下手人がいるはずだと詮議が始まって……。『銀侠伝』『紅游録』に続く銀牌侠シリーズ第三弾、初の長編で登場。文庫オリジナル。著者あとがき=秋梨惟喬
秋梨惟喬
(アキナシコレタカ )1962年8月17日岐阜県生まれ。広島大学文学部史学科(東洋史学)卒業。1993年「落研の殺人」が鮎川哲也編『本格推理2』に、1995年「憧れの少年探偵団」が北村薫・宮部みゆき選『推理短編六佳撰』に収録される(ともに那伽井聖名義)。2006年、秋梨名義による「殺三狼」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞。