南宋時代の中国、臨安。常々刺客への警戒を怠らなかった商人が、猛毒にあたって死んだ。唯一毒味をせず口にした薬のせいに違いないと、お抱えの薬屋は囚われの身となってしまう。父の非運を目の当たりにした一人娘に、仙人のような男が策を授け……。九歳の少女と不思議な力を持った老人の真相解明行を軽やかに描く第三回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」など、四編を収録。虚実ないまぜの中華世界で義に生き悪を挫く好漢“銀牌侠”の活躍やいかに。解説=佳多山大地
「殺三狼(しゃさんろう)」
「北斗南斗(ほくとなんと)」
「雷公撃(らいこうげき)」
「悪銭滅身(あくせんめっしん)」
秋梨惟喬
(アキナシコレタカ )1962年8月17日岐阜県生まれ。広島大学文学部史学科(東洋史学)卒業。1993年「落研の殺人」が鮎川哲也編『本格推理2』に、1995年「憧れの少年探偵団」が北村薫・宮部みゆき選『推理短編六佳撰』に収録される(ともに那伽井聖名義)。2006年、秋梨名義による「殺三狼」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞。