女だてらに武の道を選んだ毛利玄達は、男装し諸国を巡っている。ある日琵琶湖を往き来する渡し舟の上で、無手勝流を名乗る“土佐の卜伝”なる人物と出会った。乗り合わせたほかの乗客にまで迷惑をかける武士を体よくあしらった卜伝に感銘を受けた玄達だが、昔から縁の深い柳生十兵衛曰く、その“卜伝”には裏がありそうで……。隻眼の剣豪・柳生十兵衛と毛利玄達が様々な流儀の達人たちの抱える“謎”を、華麗に解き明かしていく! 第二回ミステリーズ!新人賞受賞作家が贈る、傑作書き下ろし時代ミステリ四編。解説=細谷正充
高井忍
(タカイシノブ )1975年京都府生まれ。立命館大学卒業。2005年「漂流巌流島」が綾辻行人、有栖川有栖両氏に絶賛され、第2回ミステリーズ!新人賞を受賞しデビュー。著作に『漂流巌流島』『柳生十兵衛秘剣考』『蜃気楼の王国』『柳生十兵衛秘剣考 水月之抄』『本能寺ゲーム遊戯(ゲーム)』『名刀月影伝』などがある。