徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した、元麻酔科医・伝城英二。空腹は感じるがそれを不快には感じない。うまくもまずくもないので、食べ物にも興味がない。ファッションや人間関係についても同様だ。毎日同じ料理を食べ、人付き合いも最低限にして暮らしていた英二はある日、アエルズ患者八名が共同生活を送る〈情無連盟〉から加入の誘いを受ける。だが英二が泊まりがけで見学に訪れていたさなか、連盟員の一人が殺害されてしまう。不可能状況下、しかもあらゆる欲求を失い、怒りも悲しみも感じない「情無」たちが集う屋敷で、なぜ殺人事件は起こったのか? 現役医師であり、ミステリーズ!新人賞受賞作家である著者が相棒・眞庵と共作した、本格犯人当て長編。
浅ノ宮遼
(アサノミヤリョウ )1978年生まれ。宮城県仙台市出身。新潟大学医学部卒の現役医師。2014年、「消えた脳病変」で第11回ミステリーズ!新人賞を受賞。16年、同作を連作化した『片翼の折鶴』(文庫化に際し、『臨床探偵と消えた脳病変』に改題)を刊行し、話題となる。
眞庵
(シンアン )秋田大学医学部医学科卒。浅ノ宮遼とはかねてからのミステリ仲間。単行本『片翼の折鶴』の制作にかかわり、今作から共著者として本格的にデビュー。