高校生になった滝本望は、いまも祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前からお蔦さんと呼ばれる祖母は、料理は孫に任せきりだしとても気が強いけれど、ご近所衆から頼られる人気者だ。
そのお蔦さんが踊りの稽古をみている、若手芸妓・都姐さんが寿退職することになった。幸せな時期のはずなのに、「これ以上迷惑はかけられない」と都姐さんの表情は冴えなくて……(「みやこさわぎ」)。
神楽坂で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する! 粋と人情と、望が作る美味しい料理がたっぷり味わえるシリーズ第三弾。
西條奈加
(サイジョウナカ )1964年、北海道生まれ。2005年、『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞。2015年『まるまるの毬』で第36回「吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に『鳥金』『善人長屋』『四色の藍』『朱龍哭く 弁天観音よろず始末記』『千年鬼』など。