ジョン・ディクスン・カー/カーター・ディクスン
1906年アメリカ、ペンシルヴェニア州生まれ。1930年に予審判事アンリ・バンコランが登場する『夜歩く』を発表。ギディオン・フェル博士シリーズの『帽子収集狂事件』、ノンシリーズの『皇帝のかぎ煙草入れ』のほか、カーター・ディクスン名義によるヘンリ・メリヴェール卿シリーズ『ユダの窓』など、オールタイム・ベスト級の傑作を次々とものし、熱狂的な読者を獲得。〈不可能犯罪の巨匠〉と呼ばれる。77年没。
月光が大ロンドンの街を淡く照らしている。数百年の風雨に黒ずんだ赤煉瓦の時計師の家、その屋根の上にうごめく人影。天窓の下の部屋では、完全殺人の計画が……
カーの死後の調査と研究に依って発掘された、若かりし日の作品群や、ラジオ・ドラマを集大成した待望のコレクション。処女短編「死者を飲むかのように……」を筆頭に
猫が鼠をなぶるように、冷酷に人を裁くことで知られた高等法院の判事の別荘で判事の娘の婚約者が殺された。現場にいたのは判事ただ一人。法の鬼ともいうべき……
時は一八六九年。ニューヨークからもどったキット・ファレルは、ロンドンに着いた早早、奇怪な事態に遭遇する。そして彼の目前の密室状況下で……
チャターハム牢獄の長官をつとめるスタバース家の者は、代々、首の骨を折って死ぬという伝説があった。これを裏づけるかのように、今しも相続をおえた嗣子マルティンが謎の死をとげた。……
1927年のニューオーリンズ。過去に奇怪な事件の起きたことで〈死の館〉の異名をもつデリース館に、またも発生した不可思議な事件。歴史推理巨編。
カー短編の精髄を集めたコレクション、本巻にはフェル博士、H・M(ヘンリ・メルヴィル卿)、マーチ大佐といった名探偵が一堂に会する。内容も、隠し場所トリック……
長編に劣らず短編においてもカーは数々の名作を書いているが、中でも「妖魔の森の家」1編は、彼の全作品を通じての白眉ともいうべき傑作である。
発端の怪奇性、中段のサスペンス、解決の意外な合理性、この本格推理小説に不可欠の3条件を見事に結合して、独創的なトリックを発明するカーの第一短編集。
ある夏の夜のこと、ロンドンの博物館をパトロール中の警官は怪人物を発見したが、その人物は忽然と消滅してしまった。しかも博物館の中には殺人事件が発生していた……