ワープの際に生じる空白の七十四秒間、襲撃者から宇宙船を守ることができるのは、マ・フと呼ばれる人工知性だけだった──ひそやかな願いを抱いた人工知性の、静寂の宇宙空間での死闘を描き、第8回創元SF短編賞を受賞した表題作と、独特の自然にあふれた惑星Hを舞台に、乳白色をした8体のマ・フと人類の末裔が織りなす、美しくも苛烈な連作長編「マ・フクロニクル」を収める。文庫版解説=石井千湖
「七十四秒の旋律と孤独」
「マ・フ クロニクル」
「一万年の午後」
「口風琴(くちふうきん)」
「恵まれ号 T」
「恵まれ号 U」
「巡礼の終わりに」
久永実木彦
(ヒサナガミキヒコ )東京都出身。2017年、「七十四秒の旋律と孤独」で第8回創元SF短編賞を受賞。書籍デビュー作である『七十四秒の旋律と孤独』が日本SF大賞候補に選ばれる。2022年に発表した短編「わたしたちの怪獣」で再び日本SF大賞の候補となったのち、同作を表題作とした短編集を2023年に刊行した。愛妻家で愛猫家。