女子大生の圭子は、最愛の恋人・朗から突然の別れを告げられる。自分は癌で余命いくばくもないのだ、と。茫然自失する圭子の耳に、さらにこんな報道が──「地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない」。圭子は決意した。もう一度だけ、朗に会いに行こう。練馬から鎌倉をめざし、徒歩で旅に出た彼女が遭遇する4つの物語。……来週、地球が滅びるとしたら、あなたはどうやって過ごしますか? 著者を代表する破滅SF。解説=東浩紀
新井素子
(アライモトコ )1960年東京生まれ。立教大学文学部卒。77年、高校2年生のときに第1回奇想天外SF新人賞に投じた「あたしの中の……」が、選考委員だった星新一の賞賛を受けて佳作入選しデビュー。大学在学中に発表した「グリーン・レクイエム」「ネプチューン」は、第12回、第13回星雲賞を受賞。99年には『チグリスとユーフラテス』で第20回日本SF大賞を受賞した。