【星雲賞受賞作「グリーン・レクイエム」収録】
子供の頃の記憶。まよいこんだ夕刻の山道。ピアノの音を頼りに辿りついた草原の先には古びた洋館と温室があり、そこで彼は“緑色の髪をした少女”に出会った──。彼は長じて植物学者への道を歩み始めた。そして彼女との再会は、二人を思いもよらない悲劇へと導く。著者の初期代表作にして星雲賞を受賞した中編「グリーン・レクイエム」と、それに続く長編「緑幻想」を併せ、初の一巻本で贈る。著者あとがき=新井素子/解説=星敬
「グリーン・レクイエム」
「緑幻想」
新井素子
(アライモトコ )1960年東京生まれ。立教大学文学部卒。77年、高校2年生のときに第1回奇想天外SF新人賞に投じた「あたしの中の……」が、選考委員だった星新一の賞賛を受けて佳作入選しデビュー。大学在学中に発表した「グリーン・レクイエム」「ネプチューン」は、第12回、第13回星雲賞を受賞。99年には『チグリスとユーフラテス』で第20回日本SF大賞を受賞した。