地球とアルファ系の星間戦争は、とうに終結していた。だが、敵国アルファ系帝国の領地であるその衛星には、地球人の精神疾患者達が今も取り残され、連絡を絶ったまま独自の文化を形成していた。この地を再び奪取せんと、地球側は調査部隊を送り込む。だが部隊には一人の人造人間が潜入していた……。著者が精神疾患への関心をもとに取り組んだ名編。
フィリップ・K・ディック
アメリカの作家。1928年生まれ。1952年に短編作家として出発し、その後長編を矢つぎばやに発表、「現代で最も重要なSF作家の一人」と呼ばれるまでになる。ゆるぎない日常社会への不信、崩壊してゆく現実感覚を一貫して描き続けた。代表作に『ユービック』『火星のタイム・スリップ』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『スキャナー・ダークリー』『ヴァリス』など。1982年歿。