過去への時間旅行が可能となった未来、時間局が設立された。部局はふたつ。過去の歴史の監視と復旧を任務とする時間警察と、観光客を歴史的な場面へ案内する観光部だ。観光部員となった青年ジャドは、時間線をビザンティウムへのぼり、そこで絶世の美女に出会い、恋に落ちるが……。タイム・パラドックスSFの金字塔。星雲賞受賞作。解説=高橋良平
ロバート・シルヴァーバーグ
Robert Silverberg
1935年、ニューヨーク州生まれ。10歳よりSFを愛読し、翌年には自らファンジンを発行、また54年、コロンビア大学在学中に短編が〈ネビュラ〉誌に掲載され作家デビューする。55年、20歳で第一長編となるジュヴナイルSFを上梓、56年にはヒューゴー賞新人部門を受賞した。以後の膨大な執筆量で“小説工場”の異名をとる。60年代後半よりシリアスな作品を発表しはじめ、以降“ニュー・シルヴァーバーグ”と呼ばれる。代表作に星雲賞受賞作『時間線をのぼろう』、ヒューゴー賞受賞作『夜の翼』、ネビュラ賞受賞作『禁じられた惑星』、ローカス賞受賞作『ヴァレンタイン卿の城』などがある。科学ノンフィクションも多数発表している。
伊藤典夫
(イトウノリオ )1942年、静岡県浜松市生まれ。英米文学翻訳家。主な訳書にクラーク『2001年宇宙の旅』、オールディス『地球の長い午後』、ブラッドベリ『華氏451度』、カート・ヴォネガット・ジュニア『猫のゆりかご』、ディレイニー『ノヴァ』ほか多数。