パリのケルン教授の助手に雇われたマリイは、実験室内の恐ろしい秘密を目の当たりにする。人間の首──それも胴体から切り離された生首が、瞬きしながらじっとこちらを見つめているではないか! それはつい最近死亡した、高名な外科医ドウエル教授の首だった。おりしもパリ市内では不可解な事件が続発していた……。“ロシアのジュール・ヴェルヌ”と呼ばれる著者の傑作長編。訳者あとがき=原卓也
アレクサンドル・ベリャーエフ
1884年ロシア生まれ。幼稚園の教師、図書館司書などの職を転々とし、1925年からSFを執筆。晩年にいたるまで20作余りの長編、40作以上の短編を発表した。1942年没。作品が評価されたのは死後のことである。科学技術にのっとったアイデアと豊かな物語性を兼ね備えた作風で、ロシアSF史上もっとも傑出した作家と位置づけられ、“ロシアSF界のジュール・ヴェルヌ”との呼び声も高い。『ドウエル教授の首』『両棲人間』『無への跳躍』『人工衛星ケーツ』などが翻訳されている。