未来学者チェイニイは、政府の極秘実験計画への参加を要請される。新たに開発されたタイムマシンで、近未来社会を調査してきてほしい、というのだ。だが、人種対立と米中紛争が激化する中、大統領が私利私欲で計画に介入。チェイニイが研究していた古代の預言書『終末記』との符合に、不吉な予感を抱きつつ出発した彼らが目にする、戦慄の未来像とは……? キャンベル記念賞受賞、タイムトラベルSF史に残る傑作。
ウィルスン・タッカー
1914年アメリカ・イリノイ州生まれ。41年にプロ作家としてデビュー。主に40?50年代に活躍し、生涯に20本以上のSF・ミステリ長編を発表した。代表作に、キャンベル記念賞を受賞しヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞の最終候補作となった『静かな太陽の年』(1970年)、『明日プラスX』(1955年)など。また、30年代からSFファン活動で有名で、「スペースオペラ」という言葉は41年にタッカーが自らの同人誌上で使ったのが初出とされる。2006年没。
中村保男
(ナカムラヤスオ )1931年生まれ。東京大学文学部英文学科卒業。英米文学翻訳家。翻訳研究・翻訳技術に関する著書も多数ある。2008年12月9日歿。