●井上尚登氏推薦――「SFファンもミステリーファンにもおススメの一冊です。」
【第1回ヒューゴー賞受賞】
24世紀、人類の進化は人の心を自在に透視する超感覚者たちを生みだし、犯罪を計画することさえ不可能となっていた。全太陽系を支配する一大産業王国の樹立を狙うベン・ライクは、宿命のライバルを倒すため、あえて殺人という非常手段に訴える。計画は首尾よく成功したかに思われた。だが、ニューヨーク警察本部の第1級超感覚者、刑事部長リンカン・パウエルは、この世紀の大犯罪を前に陣頭指揮を開始、ここに超感覚者対ライクの虚々実々の攻防戦が展開する! 『虎よ、虎よ!』などで知られる現代SFの鬼才作家の処女長編にして、第1回ヒューゴー賞の栄誉に輝いた歴史的傑作。解説=厚木淳
アルフレッド・ベスター
1913年、アメリカ、ニューヨーク生まれ。幼少期からSFに親しみ、メトロポリタン・オペラ劇場宣伝部在籍時に初めて書いた作品をスタンダード・マガジン社に送ったことが縁で、39年に同社の雑誌〈スリリング・ワンダー〉の新人賞第一席に入選。パルプ作家としてSFを中心に執筆生活に入る。その後一時SF界を離れ、コミックス、ラジオ業界を経て、TVのシナリオライターとして順調にキャリアを重ねた。50年代に入り、ふたたび短篇SFをたてつづけに発表、53年、『分解された男』で第1回ヒューゴー賞を受賞した。その後ジャーナリストとして活躍したのち、70年代に入って〈F&SF〉〈アナログ〉にふたたび作品を寄せはじめる。87年没。他の作品に『虎よ、虎よ!』『コンピュータ・コネクション』『ゴーレム100』などがある。
沼沢洽治
(ヌマサワコウジ )1932年東京生まれ。東京大学文学部英文学科卒。主な訳書に、ヴァン・ヴォークト『宇宙船ビーグル号の冒険』『イシャーの武器店』『非Aの傀儡』、ベスター『分解された男』、クラーク『地球幼年期の終わり』ほか。2007年歿。