絶海の孤島の秘密を覗き見た青年。そこでは消息を断った老天才科学者モロー博士が、神をも恐れぬ実験を進めていた。獣を改造し、新しい人間を創造するのだ。現代の遺伝子改造を予見し、3度に及んで映画化されたウェルズのホラーSFの傑作を、綿密な校訂研究の成果に基づき完全訳出した新訳決定版。巻末には詳細なウェルズSF作品邦訳書誌(藤元直樹作成)を収録。訳者あとがき=中村融
*映画『獣人島』(1933年/アール・C・ケントン監督)原作
*映画『ドクター・モローの島』(1977年/ドン・テイラー監督)原作
*映画『D.N.A.』(1996年/ジョン・フランケンハイマー監督)原作
H・G・ウェルズ
1866年、英国イングランド生まれ。フランスのジュール・ヴェルヌと並んで「SFの父」とされる。代表作とされる「タイム・マシン」(1895)、『モロー博士の島』(1896)、『透明人間』(1897)、『宇宙戦争』(1898)、『月世界最初の人間』(1901)などをはじめ、現代SFの基礎となるアイデアの大半はウェルズが発案したものである。小説のみならず、歴史家としても『世界史概観』(1922)などの著作がある。社会活動家としても多くの業績を遺した。1946年没。
中村融
(ナカムラトオル )1960年愛知県生まれ。中央大学卒業。SF・ファンタジイ翻訳家、研究家、アンソロジスト。主な訳書に、ウェルズ『宇宙戦争』『モロー博士の島』、ブラッドベリ『万華鏡』ほか多数。創元SF文庫での編著に『影が行く』『地球の静止する日』『時の娘』『時を生きる種族』『黒い破壊者』がある。