三つの願いをかなえてくれる魔人イフリートが、最後の願いを叶える力を失った。盗まれた願いの力はどこへ? 被害にあった人々が作った結社〈第三の願い〉とは? カリフの宮殿を放り出された絨緞乗りターリクは、魔人の首領から引き継いだ左目の奇怪な力に苦しみながら、真実を追及する。一方嵐の王に捕まった弟ジュニスは、魔人との戦いに加わっていた。そこでジュニスは不思議な力をもつ少年に会うが……。迫力のシリーズ第二弾。解説=井辻朱美
カイ・マイヤー
1969年ドイツ、リューベック生まれ。大学で映画、演劇、哲学を学び、ジャーナリストを経て作家に。1993年Der Kreuzworträtsel-Mörderでデビュー。ドイツの伝承を題材にした怪奇幻想文学で知られるようになる。その後ファンタジー系の児童文学を相次いで発表。『鏡のなかの迷宮』『氷の心臓』などが、日本でも翻訳刊行されている。現在はドイツ中部のラインラント在住。
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家、和光大学教授。主な訳書として、2012年本屋大賞翻訳小説部門第1位に選ばれたシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ケストナー『終戦日記一九四五』、ノイハウス『友情よここで終われ』、ザルテン『バンビ――森に生きる』などがある。