アーサー・マッケンは1863年、ウエールズのカーレオン・オン・アスクに生まれた。ローマに由来する伝説と、ケルトの民間信仰が受け継がれた地で、神学や隠秘学(オカルト)に関する文献を読んで育ったことが、唯一無二の作風に色濃く反映されている。古代から甦る恐怖と法悦を描いて物議を醸した、出世作にして代表作「パンの大神」ほか全7編を平井呈一入魂の名訳にて贈る。解説=南條竹則
「パンの大神」
「内奥の光」
「輝く金字塔」
「赤い手」
「白魔」
「生活の欠片」
「恐怖」
アーサー・マッケン
1863年ウエールズ、カーレオン・オン・アスクで、代々牧師の家系に生まれる。トマス・ド・クインシーやウォルター・スコットの作品に親しみ、詩作を試みるなど早熟な少年期を過ごす。軍医を志すも挫折した後、作家を目指してロンドンで創作活動を開始。出世作にして代表作となった「パンの大神」は、イギリスの文壇に大きな衝撃を与えた。40歳を前に一度筆を折り、約10年にわたりシェイクスピア劇の劇団員として生活を送る中で『夢の丘』、「生活の欠片」などを執筆。第一次世界大戦を機に、怪奇実話や随想を発表するようになり、文筆生活を再開した。1947年没。