34年という短い生涯に於いて「三田文学」の編集に携わったほか、自作5編が芥川賞の候補作となるなど、純文学に大きな足跡を残した山川方夫は、一方で「ヒッチコック・マガジン」連載の〈親しい友人たち〉が探偵小説読者から高く評価される、謎を扱ったショートストーリーの達人でもあった。夏と海、戦後と虚無を描き続けた“早世の天才”の才気を示す、文庫オリジナル傑作選。エッセイ=岡谷公二/解説=法月綸太郎
山川方夫
(ヤマカワマサオ )1930年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院中退後、「三田文学」編集に携わる。「演技の果て」「海の告発」など5作が芥川賞、『クリスマスの贈物』が直木賞の候補となる。他の著作に『安南の王子』『愛のごとく』『目的を持たない意志 山川方夫エッセイ集』などがある。65年、交通事故にて逝去。