女流画家の個展会場で、ある作品を前に一人の女が声をあげた。この画家は、五年前に失踪した自分の夫の行方を知っているはずだと。その失踪事件は謎に満ちていた。そして、その後、現場だった家で起きた密室殺人。さらに密室殺人は続く。絵に隠された驚くべき真実! 人間の情念を縦糸に、ロジカルなトリックを横糸に織り上げられた岸田ミステリの原点。第14回鮎川哲也賞受賞作。
岸田るり子
(キシダルリコ )1961年京都市生まれ。魚座。パリ第七大学理学部卒業。2004年に『密室の鎮魂歌(レクイエム)』で第14回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。著作は他に『出口のない部屋』『天使の眠り』『ランボー・クラブ』『過去からの手紙』など。訳書に『細菌と戦うパストゥール』(共訳)がある。