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シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパン――ミステリ史に名を刻む両巨頭の知られざる冒険譚「「スマトラの大ネズミ」事件」と「mとd」。大石内蔵助が率いる赤穂浪士の討ちいりのさなか、雪の降り積もる吉良邸で起きた密室殺人「忠臣蔵の密室」。実はシャーロキアンだったアドルフ・ヒトラーが戦局を左右しかねない大事件に挑む「名探偵ヒトラー」。日本を訪れたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が“怪談”の数々を解き明かす「八雲が来た理由(わけ)」――在非在の著名人が名探偵となって競演する全五編。異才が虚実を織り交ぜ纏めあげた、奇想天外な本格ミステリ短編集。解説=北原尚彦
「「スマトラの大ネズミ」事件」
「忠臣蔵の密室」
「名探偵ヒトラー」
「八雲が来た理由(わけ)」
「mとd」
田中啓文
(タナカヒロフミ )1962年大阪府生まれ。神戸大学卒。93年『凶の剣士』が第2回ファンタジーロマン大賞に佳作入選、『背徳のレクイエム』と改題のうえ刊行してデビュー。同年、サックス・プレイヤーの永見緋太郎が登場する短編「落下する緑」が鮎川哲也編〈本格推理〉に入選。その後、ミステリをはじめとしてSFやホラーとジャンルを越えて活躍する。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」が第33回星雲賞を、09年「渋い夢」が第62回日本推理作家協会賞を、16年「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」が第47回星雲賞を受賞。主な著書に〈永見緋太郎の事件簿〉〈笑酔亭梅寿謎解噺〉シリーズのほか、『シャーロック・ホームズたちの冒険』『異形家の食卓』『こなもん屋うま子』『ウィンディ・ガール サキソフォンに棲む狐T』『地獄八景』がある。