自殺対策NPO法人で働く晃佑のもとに、立ち直ったはずの元相談者・博之の悲報が届く。自死する前の彼は、VRに異様なほどのめり込んでいたという。博之は死に誘導されたのではないか――かすかな疑念から、晃佑は元ゲームクリエイターの宙とともに調査を始める。彼らが直面した、仮想世界と現実で進行する恐るべき計画とは。日本推理作家協会賞受賞作家による鮮烈なミステリ。解説=千街晶之
逸木裕
(イツキユウ )1980年東京都生まれ。学習院大学卒。2016年、『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。2022年、「スケーターズ・ワルツ」(『五つの季節に探偵は』所収)で第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞。その他の著書に『銀色の国』『少女は夜を綴らない』『星空の16進数』『電気じかけのクジラは歌う』『空想クラブ』『風を彩る怪物』『祝祭の子』がある。