ゴミ捨て場に遺棄された覆面レスラーの死体は、後頭部の髪が無惨に切り取られていた。所轄の刑事三瓶と組む格闘技マニアの新人城島は、不思議な魅力を持つ青年・犬飼の鋭い指摘を受けて事件を追うが、犯行を告白するメモを残した男が死体で発見される。二人の男の怪死が描く構図が反転し、驚愕の真相をもたらす「覆面」ほか、端正かつ周到な仕掛けを鮮やかに結ぶ、本格推理連作集。解説=乾くるみ
伯方雪日
(ハカタユキヒ )1970年京都府生まれ。書店勤務を続ける傍ら、執筆活動も展開。03年「必然なる偶然」が『創元推理21』に掲載されてデビュー。04年『誰もわたしを倒せない』を上梓。他の著書に『死闘館 我が血を嗣ぐもの』『ガチ! 少女と椿とベアナックル』がある。