【第1回創元推理短編賞受賞】
開業を夢見る若き弁護士の僕こと剣持鷹士は、藤堂法律事務所に勤めている。人の数だけドラマがある、ましてや弁護士に持ち込むのだから、というわけでもなかろうが、ともすれば理解に苦しむ依頼にぶつかる。こういう場合に重宝なのが親友の女王光輝(めのう・みつてる)通称コーキで、彼の端倪すべからざる推理力には高校時代から舌を巻くばかり。あきらめがいいんだか悪いんだか判然としない客のことも、飲みながら話すうちに……! 第1回創元推理短編賞を受賞した表題作に始まる、安楽椅子探偵の事件簿。解説=巽昌章
「あきらめのよい相談者」
「規則正しいエレベーター」
「詳し過ぎる陳述書」
「あきらめの悪い相談者」
剣持鷹士
(ケンモチタカシ )1962年、鹿児島県生まれ。九州大学法学部卒。93年刊『競作 五十円玉二十枚の謎』の公募企画で最優秀賞を、94年「あきらめのよい相談者」で第一回創元推理短編賞を受賞。