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運行しているはずのない深夜バスに乗って、彼は摩訶不思議な光景に遭遇した──奇妙な謎とその鮮やかな解決を描く表題作をはじめ、怪奇小説と謎解きを融合させた圧巻の一編「九人病」、渾身のアリバイ・トリックを用意して殺人を実行した推理作家の涙ぐましい奮闘劇「特急富士」など5編を収録。あの手この手で謎解きのおもしろさを描く、著者会心の〈ミステリ・ショーケース〉。
「Y駅発深夜バス」
「猫矢来」
「ミッシング・リング」
「九人病」
「特急富士」
青木知己
(アオキトモミ )1969年東京都生まれ。上智大学文学部卒。光文社の公募企画〈新・本格推理〉に短編「Y駅発深夜バス」を投じ入選、2003年刊の『新・本格推理03 りら荘の相続人』(鮎川哲也監修/二階堂黎人編)に掲載される。この短編は日本推理作家協会と本格ミステリ作家クラブの年刊アンソロジーの両方に収録されるなど、高い評価を受けた。07年には初の長編『偽りの学舎』を刊行、その後沈黙したが17年に短編集『Y駅発深夜バス』を刊行した。