目覚めたぼくを、祖父が散歩に誘う。見覚えのない雑木林を祖父と歩いていると、去年亡くなった幼なじみが現れ、林の奥に消えていく。そういえば、祖父は危篤だったはず? こんな不可解な夢を毎晩見ていたぼくが、「夢読みさん」に相談に行くと――。軽妙洒脱な語り口で紡ぎ出される十夜の夢物語。文豪・漱石の『夢十夜』に触発された著者が贈る、夢にまつわる不思議な短編集。解説=亜門虹彦
「時の小鳥」
「水車(みずぐるま)」
「いきどまり」
「野ばら」
「てんまる」
「初夢」
「猫回し」
「おむかえ」
「さつき闇」
「ぎんなん」
芦原すなお
(アシハラスナオ )1949年香川県生まれ。早稲田大学文学部卒、同大学院博士課程中退。86年『スサノオ自伝』でデビュー。90年発表の『青春デンデケデケデケ』で第27回文藝賞、第105回直木三十五賞を受賞。主な著書に『ミミズクとオリーブ』『嫁洗い池』『わが身世にふる、じじわかし』『月夜の晩に火事がいて』『雪のマズルカ』などがある。