ある事件をきっかけにして本庁に引き抜いた白石巡査の直感を、松谷警部は信頼している。当初は白石の推理力を動員するまでもないと思われた三鷹の殺害事件だが、諸事情が判明するにつれて複雑な様相を見せはじめた。ケーキは消え、足跡は一つだけ。この事件は長引くかもしれないぞ??厭な予感が松谷の脳裏を掠める。打開策の見えないまま地道な捜査を続けるうちに……。本格ミステリ道まっしぐら、『松谷警部と目黒の雨』に続くシリーズ第二作。解説=福井健太
*第10位『2015本格ミステリ・ベスト10』国内ランキング
平石貴樹
(ヒライシタカキ )1948年函館市生まれ。東京大学、同大学大学院に学ぶ。83年「虹のカマクーラ」で第7回すばる文学賞受賞。著書に『笑ってジグソー、殺してパズル』『だれもがポオを愛していた』『フィリップ・マーロウよりも孤独』『スラム・ダンク・マーダー その他』『サロメの夢は血の夢』『スノーバウンド@札幌連続殺人』『松谷警部と目黒の雨』等がある。