「俺と八〇〇メートル競走しないかい」──ふと立ち寄った酒場で、見知らぬ男から持ちかけられた異様な“賭け”の意外な結末。一読忘れがたい余韻をもたらす、日本推理作家協会賞受賞の表題作ほか、極北の国々を旅する日本人青年が、おもちゃ屋と博物館で遭遇した二つの美しい謎物語を綴る「北欧二題」など、バラエティ豊かな5篇を収録。本格の気鋭による初短篇集が待望の文庫化。著者あとがき=深水黎一郎/解説=小鷹信光
「人間の尊厳と八〇〇メートル」
「北欧二題」
「特別警戒態勢」
「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」
「蜜月旅行 LUNE DE MIEL」
深水黎一郎
(フカミレイイチロウ )1963年山形県生まれ。慶應義塾大学文学研究科後期博士課程終了。ブルゴーニュ大学修士号、パリ大学DEA。2007年、『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著作に『エコール・ド・パリ殺人事件』『トスカの接吻』『花窗玻璃』など。2011年、「人間の尊厳と八〇〇メートル」で第64回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。