映画の没フィルム、サーカスのポスター、アパートのゴミ……誰も盗もうとは思わないものだけを、依頼されて盗むユニークな怪盗ニック・ヴェルヴェット。本書にはお馴染みの奇妙な依頼のほか、何を盗むのか不明な話、ニック自身が盗まれる話、何も盗まないよう頼まれる話など、シリーズ屈指の変化球をそろえた。短編の名手ホックが生み出した、比類なき怪盗の文庫版全集第2弾。解説=木村仁良
「マフィアの虎猫を盗め」
「空っぽの部屋から盗め」
「くもったフィルムを盗め」
「クリスタルの王冠を盗め」
「サーカスのポスターを盗め」
「カッコウ時計を盗め」
「怪盗ニックを盗め」
「将軍のゴミを盗め」
「石のワシ像を盗め」
「バーミューダ・ペニーを盗め」
「ヴェニスの窓を盗め」
「海軍提督の雪を盗め」
「卵形のかがり玉を盗め」
「シャーロック・ホームズのスリッパを盗め」
「何も盗むな」
エドワード・D・ホック
アメリカの作家。1930年ニューヨーク州生まれ。1955年、雑誌にサイモン・アークもの第1作となる短編「死者の村」が掲載されデビュー。以降50年以上にわたり、短編ミステリの第一人者として活躍し続けた。サイモン・アーク、怪盗ニック・ヴェルヴェット、レオポルド警部やサム・ホーソーン医師など、多種多彩なキャラクターを起用して謎解きの醍醐味を満喫させる作風は本国でも高く評価され、2001年にはアメリカ探偵作家クラブ(MWA)生涯功労賞を受賞したほか、数々の栄誉に輝いている。2008年没。