「当方、莫大な資産あり、良縁を求む。ハンブルク出身の未婚の方。家族係累なく……」という新聞の求縁広告がすべての始まりだった。知性と打算の生んだ見事な手紙が功を奏し、カンヌに呼び寄せられたヒルデガルトの運命は?
カトリーヌ・アルレー
フランスの作家。1924年生。経歴については詳らかでないが、1956年に発表した第2作『わらの女』によって一躍国際的な女流サスペンス作家としての地位を確立した。サディスティックな悪女ものを本領とし、完全犯罪をテーマにしている。フランス・ミステリ界に一時代を画した女王である。
橘明美
(タチバナアケミ )仏語・英語翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒業。訳書にC・アルレー『わらの女』、P・ルメートル『その女アレックス』、S・ピンカー『人はどこまで合理的か』他多数。