児童書の出版社に勤める香衣は、とあるきっかけで“カフェ・チボリ”を訪れ、常連客となる。美味しい料理とあたたかなもてなしに毎回すっかりくつろいで、常連客たちは、身の回りで起こった謎について語り始める。それらはいずれもは『マッチ売りの少女』や『人魚姫』などアンデルセン童話を彷彿とさせる出来事で――。「皆さん、ヒュッゲ(くつろぎ)の時間です」高校生店主のレンが優雅にマッチを擦ると、謎は瞬く間に解かれてゆく。土曜日だけ営業する不思議なカフェでの安楽椅子探偵譚。
内山純
(ウチヤマジュン )1963年神奈川県生まれ。立教大学卒。2014年『B(ビリヤード)ハナブサへようこそ』で第24回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(後に『ビリヤード・ハナブサへようこそ』と改題して文庫化)。彩り鮮やかな人物造形と心地良い読後感が魅力的な新鋭。他の著書に『新宿なぞとき不動産』がある。