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この世にひとつの本

  【単行本版】

門井慶喜


この世にひとつの本

ジャンル
国内ミステリ > 本格ミステリ

判型:四六判並製
ページ数:266ページ
初版:2011年4月28日

ISBN:978-4-488-02467-3
Cコード:C0093

装画:龍神貴之
装幀:田中久子


内容紹介

忽然と消えた著名な女流書家。後援していた大塔印刷では、御曹司三郎に捜索をまかせることにした。だが、工場でも白血病で亡くなる社員が相次ぐという異常事態が……。三郎は社長秘書・南知子と、社史編纂室の秀才青年・健彦と謎を探り始める。大塔印刷では数年前活版印刷をやめたときにひと悶着があった。活版を追いやる形になった無版印刷課で死人が出たのはただの偶然なのか、それともその時の因縁なのか? そしてその工場には、幽嶺が揮毫したこの世にひとつしか存在しない、謎の書の存在が明らかに。この書に失踪の謎が隠れているのかもしれない──。三郎は、持ち前の呑気で天真爛漫な性格で人の警戒心を解きつつ、鋭い洞察を見せる南知子と健彦の力を借りて、それぞれの謎の真相に近づいていくのだが──。「文字」にこだわる人々の思いを軸に展開してゆく、滋味深いミステリ。


門井慶喜

(カドイヨシノブ )

1971年群馬県生まれ。同志社大学卒。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞、06年に最初の著書となる『天才たちの値段』を刊行する。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』が第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を、18年『銀河鉄道の父』が第158回直木賞を受賞。主な著書に『人形の部屋』『この世にひとつの本』『シュンスケ!』『東京帝大叡古教授』『家康、江戸を建てる』『屋根をかける人』『新選組の料理人』『にっぽんの履歴書』がある。