判型:四六判仮フランス装
ページ数:286ページ
初版:2007年10月30日
ISBN:978-4-488-01744-6
Cコード:C0093
装画:八木美穂子
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。
「じつはフランス製じゃないんだ、フランス人形は」「そうなの?」ある春の日、八駒家に持ち込まれたプラスチックの箱の中身は、「冬の室内」といった趣の舞台装置と、その右のほうに置かれた椅子に行儀よく腰かけている少女の人形。子供らしい快活を示すように、ひょいと天を向けた少女の左足のつま先は――こなごなになっていた。破損の責任を押しつけられそうな敬典の姿を見て、娘のつばめは憤慨するが、敬典は不思議と落ち着いていて……。
きっかけは小さな謎でも、それらは八駒家の食卓の上で壮大なペダントリに発展する。『天才たちの値段』で鮮烈な印象を与えた新鋭が贈る、あたたかなタッチで描かれた愉しい連作。
*第61回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉候補作
「人形の部屋」
「外泊1――銀座のビスマルク」
「お花当番」
「外泊2――夢みる人の奈良」
「お子様ランチで晩酌を」
門井慶喜
(カドイヨシノブ )1971年群馬県生まれ。同志社大学卒。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞、06年に最初の著書となる『天才たちの値段』を刊行する。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』が第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を、18年『銀河鉄道の父』が第158回直木賞を受賞。主な著書に『人形の部屋』『この世にひとつの本』『シュンスケ!』『東京帝大叡古教授』『家康、江戸を建てる』『屋根をかける人』『新選組の料理人』『にっぽんの履歴書』がある。