第22回鮎川哲也賞受賞作
風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺された。放課直後で激しい雨が降り、現場は密室状態だった!? 早めに授業が終わり体育館にいた唯一の人物、女子卓球部の部長の犯行だと、警察は決めてかかるが……。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のために、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に──。しかしなぜ彼は校内に住んでいるんだろう? 「エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+学園ミステリ」で贈る、21歳の新鋭のデビュー作。
各選考委員大絶賛!!
学園を舞台にしたミステリだから、校内で殺人を、しかも不可能犯罪を起こす。当たり前のようでいて、なぜか最近巧妙に避けられている気がする展開に、堂々と挑んだ姿勢に拍手したくなりました。(芦辺拓)
クイーンに対する敬意が、はっきりとうかがえ、その点で実に嬉しい作品だった。劇場に残された帽子から推理を組み立てるように、何でもない傘一本から、あれこれ考えていくやり方には、読んでいて、にこにこしてしまった。(北村薫)
中村青司建築シリーズのパロディとわかったときは笑わされました。たぶんこの作品名が、作者が構想したときのイメージを、いちばんすんなりと読者に提示しているのでしょう。(辻真先)
*新人賞第3位『ミステリが読みたい!2014年版』国内編
青崎有吾
(アオサキユウゴ )1991年神奈川県生まれ。明治大学卒。学生時代はミステリ研究会に所属し、在学中の2012年『体育館の殺人』で第22回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。24年『地雷グリコ』で、第24回本格ミステリ大賞、第77回日本推理作家協会賞、第37回山本周五郎賞を受賞、第171回直木賞候補となる。著作は他に、〈裏染天馬〉シリーズの『水族館の殺人』『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』『図書館の殺人』、〈アンデッドガール・マーダーファルス〉シリーズ、〈ノッキンオン・ロックドドア〉シリーズ、『早朝始発の殺風景』『11文字の檻』がある。