2つの月が浮かぶ世界で、危険な“霧”の河に長大な橋を架けようとする人々の苦闘と絆を描くヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作(表題作)消失と再出現を繰り返す不思議な猿たちのサーカスと共に旅を続ける女性が出会う人生の奇跡を描く世界幻想文学大賞受賞作(26モンキーズ、あるいは時の裂け目)――出会い、ふれあい、ときに離れる人々の姿を精妙な筆致で描く全11編を厳選収録。著者初の邦訳短編集。日本オリジナル編集。
「26モンキーズ、そして時の裂け目」
「スパー」
「水の名前」
「噛みつき猫」
「シュレディンガーの娼館(キャットハウス)」
「陳亭、死者の国」
「蜜蜂の川の流れる先で」
「ストーリー・キット」
「ポニー」
「霧に橋を架ける」
「《変化》後のノース・パークで犬たちが進化させるトリックスターの物語」
訳者あとがき
解説/橋本輝幸
キジ・ジョンスン
1960年米国アイオワ州生まれ。88年に作家デビューして以来、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞、スタージョン記念賞など、多数の賞に輝く。ショッキングなアイデアと、冷徹さと温かさを併せもった視点から登場人物の心情を丁寧に描き出す、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアやアーシュラ・K・ル・グィンを思わせる作風で、現代SF・ファンタジー界きっての短編の名手として熱烈な支持を集める。小説・コミックの編集者や、カンザス大学SF研究センターの創作講座講師を務めた経験もある。なお、ペンネームの「キジ」は本名の頭文字をつなげた愛称から取ったもの。
三角和代
(ミスミカズヨ )西南学院大学文学部外国語学科卒。英米文学翻訳家。カー「帽子収集狂事件」、ブラウン「シナモンとガンパウダー」、グレアム「罪の壁」、タートン「イヴリン嬢は七回殺される」など訳書多数。