緻密な伏線と論理展開の妙、愛すべきキャラクターなどで読者を魅了する、ミステリ界の魔術師・泡坂妻夫。著者の生前、単行本に収録されなかった短編小説などを収めた作品集を、二分冊に文庫化してお届けする。『絡繰篇』には、大胆不敵な盗賊・隼小僧の正体を追う「大奥の七不思議」ほか、江戸の雲見番番頭・亜智一郎が活躍する時代ミステリシリーズなど、傑作17編を収めた。解説=新保博久
【亜智一郎】
大奥の七不思議
文銭の大蛇
妖刀時代
吉備津の釜
逆鉾の金兵衛
喧嘩飛脚
敷島の道
【幕間】
兄貴の腕
五節句
【紋】
三国一
匂い梅
逆祝い
隠し紋
丸に三つ扇
撥鏤
【幕間】
母神像
荼吉尼天
泡坂妻夫
(アワサカツマオ )1933年東京生まれ。75年「DL2号機事件」が第1回幻影城新人賞佳作となりデビュー。78年『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞、82年『喜劇悲奇劇』で第9回角川小説賞、88年『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞、90年『蔭桔梗』で第103回直木賞を受賞。著書に『亜愛一郎の狼狽』『湖底のまつり』『煙の殺意』『妖女のねむり』『しあわせの書』『生者と死者』『夜光亭の一夜』等がある。奇術界でも著名で、69年に石田天海賞を受賞。2009年没。