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不可能犯罪ばかりが起こる街、蝦蟇倉(がまくら)市。賑やかな商店街や老婦人が営む和菓子屋があり、いわくつきの崖や海を望むホテルがあるこの街は、一見のどかなようで、どこかおかしい。蝦蟇倉警察署には“不可能犯罪係”が存在し、スーパーの駐車場では怪しい相談屋が事務所を開いている。この街の日常は、いつも謎に彩られている。第一線で活躍する作家たちによる、不思議な街の道案内。(『蝦蟇倉(がまくら)市事件1』を文庫化にあたり改題) 解説=福井健太
道尾秀介「弓投げの崖を見てはいけない」
伊坂幸太郎「浜田青年ホントスカ」
大山誠一郎「不可能犯罪係自身の事件」
福田栄一「大黒天」
伯方雪日「Gカップ・フェイント」
伊坂幸太郎
(イサカコウタロウ )1971年千葉県生まれ。2000年、『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューする。04年、『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞、08年には『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞および第21回山本周五郎賞を受賞。ほかの著書に『重力ピエロ』『砂漠』『モダンタイムス』『あるキング』『マリアビートル』『残り全部バケーション』『死神の浮力』『アイネクライネナハトムジーク』『火星に住むつもりかい?』などがある。また14年には『キャプテンサンダーボルト』で阿部和重との合作に挑み話題を呼んだ。
大山誠一郎
(オオヤマセイイチロウ )1971年埼玉県生まれ。2002年「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」をe-NOVELSに発表。04年には『アルファベット・パズラーズ』を刊行して本格的にデビューする。13年『密室蒐集家』で第13回本格ミステリ大賞を受賞。他の著書に『仮面幻想曲』がある。
伯方雪日
(ハカタユキヒ )1970年京都府生まれ。書店勤務を続ける傍ら、執筆活動も展開。03年「必然なる偶然」が『創元推理21』に掲載されてデビュー。04年『誰もわたしを倒せない』を上梓。他の著書に『死闘館 我が血を嗣ぐもの』『ガチ! 少女と椿とベアナックル』がある。
福田栄一
(フクダエイイチ )1977年愛媛県生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)卒。2003年、コミカルな快作『A HAPPY LUCKY MAN』でデビューする。緻密な構成を得意としながら次第に作風を広げ、青春小説、時代小説など多岐に亙るジャンルの作品を執筆。他の著書に『春の駒 鷺澤家四季』『夏色ジャンクション』『あかね雲の夏』『蒼きサムライ』『探偵の流儀』などがある。
道尾秀介
(ミチオシュウスケ )1975年東京都出身。2004年、長編『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。05年に発表した第2長編『向日葵の咲かない夏』で第6回本格ミステリ大賞候補、短編「流れ星のつくり方」で第59回日本推理作家協会賞候補に選出され、一躍脚光を浴びる。物語性豊かな作品世界の中に伏線や罠を縦横に張り巡らせる巧緻な作風を持つ。07年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、10年『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞、『光媒の花』で第23回山本周五郎賞、11年『月と蟹』で第144回直木賞を受賞。他の著書に『貘の檻』などがある。